2009年07月11日

コドモノクニ

07112009.jpg現在横須賀美術館にて開催中の「手のひらのモダン―『コドモノクニ』と童画家たち」展に行ってきました。














『コドモノクニ』は、文化の大衆化が急速に進んだ大正期の風潮のなか、鷹見久太郎が経営する東京社(現・アシェット婦人画報社)から大正11(1922)年に創刊され、昭和19(1944)年まで刊行された子どものための絵雑誌です。
子どもの情操には最高の芸術が必要であるという考えのもと、教育学者の倉橋惣三、詩人の北原白秋、野口雨情、作曲家の中山晋平、そして編集主任に和田雅夫といった各分野における当時の俊英たちが『コドモノクニ』には集結しました。また、子どもたちへの視覚的な効果を重視し、絵画主任となった岡本帰一や創刊号の表紙を飾った武井武雄をはじめ、清水良雄、川上四郎、初山滋、深沢省三、村山知義といった実力ある画家たちが誌面を彩りました。
この展覧会は、日本における絵雑誌の傑作といわれる『コドモノクニ』の芸術性と、そこで活躍した童画家たちを紹介しながら、絵雑誌という子どものための美術から近代化していく社会の様子を見ていこうというものです。 

横須賀美術館全文



昭和の子どもの本、なんだかどこか懐かしい。 といっても「コドモノクニ」はうちらの親世代の子ども雑誌です。 
「なんだか懐かしい~」って言ったら
「取ってたの(購読していたの意)?」と言われたので場所が場所でなければグーでパンチのひとつも…(以下自粛)  ソコマデトシトッテナイ。


今は誰も住んでおらず私のいい感じの倉庫となっている元実家には父が大切に取っておいてくれた『キンダーブック』なんて子ども向け月刊誌があるのですが、それに似てます。 イラストと詩に近い文章構が似ているのです。 イラストが子どもだからといって子どもに媚を売っているものではなく、かといって子どもにも保護者にも嫌われないもの。 いい言葉とは思わないけど万人に無味無臭。 でもそういうのが大切だと自分では思っております。 

人のあまりいない館内で水彩で描かれた原画の繊細さや雑誌の文章をひとつひとつ楽しみながら進んでいると最後のころは考えさせる内容になっていきます。


結局は戦争における贅沢禁止の方針もあり廃刊になってしまったわけですが、廃刊直前のころは現在の某将軍様のあの国をも感じさせられます。  といっても某国のような「敵国の兵隊を殺した少年A君」のようなそこまでの洗脳ものではなく、「同盟国とかの子どもたちもお国のために贅沢はしていません。 私たちも贅沢はしないでものを大切にしましょう」とか「兵隊さんはお国のために今日も働いているのです」なものでしたが、
「なんだかねえ」
な気分にさせられました。 (プロパガンダと美術の歴史は酒飲まないと話せませんw)



もともと美術館も展覧会も好きなのでたまにフラフラと行くのですが(なんかblogに書くことは少ないねえ)こういう小さい展覧会でアタリがあると嬉しくなります。  有名な美術展はもちろん観たいし、いける限り行くけれど混んでてゆっくりできないから苦手。 人を観にいっているようになるのが悲しい。 興行しているほうにすればどんな芸術品だろうが=ビジネスなわけで、広告打たないと元取れないしそれだけの経費もかかっているから仕方がないのだけど(自分も少なからず興行関連でご飯食べているわけだしな)やはり美術館ってのはゆっくりひとつひとつの作品にひたりつつ、時には妄想なんぞもしつつ過ごす場所と思っているのでこういう地方美術館の小さな展覧会はお勧めです。 ハコモノばかり作って中味はどうなっている!な美術館も地方にはありますけどさ、はいーうちの実家近辺にもありますぜ~頑張っているみたいですけどね。



ところで横須賀美術館、くるのは3回目(中に入ったのは2回目)ですがここ好きです。 屋上がオープンスペースになっていて目の前は海、後ろは山 海を行きかうタンカーとか軍艦とかを眺めていると学生時代にいたVAにとても似ていて懐かしい気分になります。 お勧めですが、電車でくるとその後バスに乗らないと駅から遠い。 それがちょっとネックです。  車なら最近馬堀海岸まで高速道路のICが延びたから便利になりました。 あまりにも新しいからナビだと道路が表示されずmiddle of nowhereを走って到着しますw  


美術館の周りの雰囲気もいいし、繊細な原画と昭和な気分にさせられてお勧めです。

Posted by toto at 2009年07月11日 22:40
コメント
コメントしてください




保存しますか?